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【30-5】 研究紀要「学思」を創刊しました

2018年6月13日

このたび、北条高等学校研究紀要「学思」を創刊しました。県教育委員会の学力向上サポート事業の指定をいただき、アクティブ・ラーニング型授業の実践研究に取り組んできた成果をまとめるにあたり、どうせなら形に残そうということで、研究紀要の創刊と相成りました。

第1号には、研究のまとめや実践報告、論文など5編をおさめています。

ひょうご学力向上サポート事業報告「アクティブ・ラーニングの視点から学習・指導方法を研究する」 教諭 鈴木世津子

地理歴史科におけるアクティブ・ラーニングの実践~日本史・地理における実践例~ 教諭 宮本 陽平

北条高校の取組の変化~私の教科指導の視点から~    教諭 野口 美香

「あびき湿原」とともに~保全活動・取材・テレビ番組制作の記録~ 主幹教諭(放送部主顧問) 衣川 顕子 実習助手(放送部副顧問) 小林美由紀

チームとして生徒を育てようとする学校の変容過程に関する質的研究 教諭 浅田美賀子

県立学校はじめ関係機関には、近日中にお届けする予定です。本校の教員が、多忙な日々と格闘しながらまとめた苦労の跡をご覧いただければ幸いです。

付録として、「創刊の辞」をご笑覧に供します。

本校は、今年度創立95年を迎える。創立90周年を期に、“POWER UP HIGH SCOOL”をスローガンに掲げ、学校改革に取り組んできた成果が定着しつつある。次のステージへと確かな歩みを進めるために、ここに研究紀要『学思』を創刊する。

本校の歴史を繙いてみると、昭和60年12月に「北髙要集」を創刊している。「北髙要集」は、研究紀要と学事記録の性格を併せ持ち、告辞、論文、実践報告、記録、随想など、多彩な文章が掲載されている。頁数は、創刊号が130頁、第2号、第3号は200頁に及んだが、平成7年11月発行の第六刊で幕を閉じている。このたび研究紀要を発行するにあたり、「北髙要集」の復刊という選択肢もあったが、四半世紀の時の経過やねらいとするところの違いから、新たに『学思』を創刊することにした。

「学思」は、言う間でもなく『論語』為政第二、十五の「学而思」による。本校の正門には、湯川秀樹博士揮毫の「学而思」の碑がある。これは北条高校初代校長の相原寅松が湯川先生にお願いして直々に書いていただいたものである。以来、本校では「学而思」を校是として大切にしてきた。

学んだ知識を活用するためには、その間をつなぐ「思ふ」が不可欠である。それは経験を伴わない「思弁」ではなく、経験のふりかえりを含む「思索」でなければならない。OECDは「ふりかえり(reflectiveness)」をキー・コンピテンシー(主要能力)の中核に据えている。新学習指導要領の目玉である「主体的・対話的で深い学び」は、これと軌を一にするものである。こうした学びを実現するためには、教員自身がその実践者でなければならない。

一方、企業等における人材育成においては、組織行動学者のコルブ(David A. Kolb)の提示した「経験学習モデル」が広く言及されている。それによると、学習者は、「経験→省察→概念化→実践」の4段階の学習サイクルを回すことで力量を高めていく。経験からより良くより深く学ぶには、「具体的な経験」をじっくり振り返るプロセスが大切であり、また、振り返ったら、それを次の経験に活かせるように「抽象的概念化」することが重要である。教員は授業ごとに省察(ふりかえり)を行っている。自分自身はもとより他の教員を交えた検討会等での多様な視点からのふりかえりによって得られたことを整理し意味づけることで授業の工夫改善につながっていく。研究紀要『学思』は、そうした機会や場を提供するものである。

年度に1回発行する研究紀要『学思』には、県教育委員会の研究指定や教育関係機関の助成による研究実践のまとめをはじめ、授業の工夫改善に関する実践研究、専門分野に関する研究、また、学級経営や生徒指導、学校行事、部活動指導に関する実践報告を掲載することとしている。学校全体や学年・部で組織的に取り組むものもあれば、教員個人による取り組みもある。若手教員育成の観点から、初任者には本校在職中に最低1本の研究・報告を執筆してもらいたいと考えている。

本校には、校是とする言葉がもう一つある。相原校長が、哲学者にして文部大臣を務めた天野貞佑に揮毫いただいた「苟日新」がそれである。教員が「学びて思ふ」教育実践を重ね、「苟(まこと)に日に新たなり」という気持ちで自らを磨き、そうした教員の優れた指導と深い感化によって、生徒たちが学びを究めることを願う。

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