北高ブログBlog

そんなつもりはなかった ~11月全校集会にて~

2021年11月5日

最近、私の周りで起こった出来事の中で、よく耳にした言葉についてお話ししたいと思います。

今年の夏、ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ知事が辞職を表明しました。多くの女性からセクハラを告発されてのことです。その1年ほど前は、コロナ対策で毎日市民にメッセージを送り、理想のリーダーとして称賛を受けていた人物です。そのクオモ氏は「誰に対しても一線を越えたことはない。そんなつもりはなかった。」と釈明しています。

私はふと数年前の出来事を思い出しました。2014年3月13日、サッカーJ1浦和のサポーターが差別的な横断幕(「Japanese Only」)を掲げた問題です。Jリーグは浦和に対し「無観客試合」などの処分を決めました。掲示したサポーターは「そんなつもりはなかった。聖域であるゴール裏には海外からの観光客に入ってほしくなかっただけ。」と言っていたそうです。

「そんなつもりはなかった。」罪を犯した人がよく言う言葉です。SNSのトラブルでもよく聞きます。人を傷つけた人、殺人を犯した人もよく言います。言い訳にもなりません。「そんなつもりはなかった」を言い換えれば「その行為がどういう結果を生み出すのか、どのような影響を与えるのか想像できませんでした。」ということにもなります。

私もよく冗談のつもりで言ったことが通じなく、よく家族とケンカをします。その度に言い方や言葉の選択やタイミングについて反省します。言葉というのは人それぞれの感じ方が違うということです。家族でも度々あることなのに、国や地域、文化、人種が違えば、なおさら言葉の温度感が大きく違うのは当然でしょう。そんなことも想像せずに、まして横断幕を掲げるのは、本当に愚か者です。

今、君たちは学生であり、社会的責任から免れています。しかし、就職の人は1、2年後社会人として、進学の人も数年後成人・社会人として社会的責任を背負います。そうなったら「そんなつもりはなかった」という言葉は通用しません。そうならないように、学生のうちに傷つき、傷つけ合いながらも、相手の声に耳を傾け、相手の立場に立ち、自分を見つめ、今のうちにイマジネーション(想像力)を膨らませておきましょう。それが思いやりです。

君たちは「そんなつもりはなかった」と言っていませんか?

思いやりのある君たちには無縁の言葉であって欲しいと願っています。

 

校長 塙 守久

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