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進路の手引き巻頭言 ~「一冊の本と塞翁が馬」~

2019年5月7日

1978年、初夏、学校の図書館で「ガロアの夢」という本に出会いました。ガロアは1811年10月25日(江戸時代後期)パリの郊外で生まれ、10代で解の性質である“対称性”を調べる方法で、300年にわたり謎のままにとどまっていた5次以上の方程式には解の公式は存在しないことを証明しました。(2次、3次、4次の方程式には解の公式があります)

ガロアは1823年(シーボルトが来日した年)にパリのルイ・ル・グランという中学校に入学しましたが、退屈だったらしく落第しています。落第した時、一流数学者の書いた「幾何学原論」という教科書のトリコになり、良くできる生徒でも2年はかかるところを、ガロアは捕物帖でも読むように、一気に通読しています。しかし、ガロアにとって学校の授業はツマラなかったらしく数学の成績は中位だったようです。また、高等理工科学校(今で言うと大学)を二度受験して、二度とも失敗しています。学校の成績評価とは、なかなか天才を計ることは難しいようです。その後、決闘の傷がもとで20歳の若さで亡くなりました。1832年6月2日にガロアの葬儀が行われましたが、天正10年(1582年)6月2日は本能寺の変がありました。

「ガロアの夢」はなかなか刺激的な本で、その時高校生だった私はこれから数学をしっかり学んでいこうと決心しました。その後、いくつかの転機はありましたが、気がつくと数学の教師になっていました。高校で数学を教えて16年目の夏、あるきっかけがもとで翌年から教育行政に入ることになり、行政の仕事にどっぷりつかりもう学校に復帰することはないのかなと思っていたらこの度17年ぶりに現場に復帰することになりました。
私の受験の頃は、今のセンター試験の前身である共通一次試験があり、5教科7科目を受験するのが一般的でした。入試制度は時代とともに変わり、それに受験生は左右されますが、それは運命として対応するしかありません。また、結果は良い時もあれば悪い時もありますが、結果のみに一喜一憂するのではなく、好きなこと、興味があることにとことん打ち込みましょう。若い時、一定の期間しっかりやっていれば、将来役に立つ時が必ずくると思います。10代の脳細胞はとても鍛え甲斐があります。
iPS細胞を発見された山中伸弥先生は、はじめ医学部で外科医を目指して頑張っておられましたが、外科手術が苦手だったこともあり二度の大きな挫折を経験した後、研究者の道に進まれたそうです。外科医としては成功されませんでしたが、iPS細胞を発見され、ノーベル賞を受賞されました。そして、人間万事塞翁が馬とも言っておられました。
皆さんも明確なビジョンを持って将来の糧となるものに挑戦してください。

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