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“一を知って二を知らぬなり卒業す” ~卒業新聞より~

2023年2月28日

早春というのは、新しいものが生まれ来る兆しを感じて、心が軽やかになる季節です。この時期に75回生の皆さんは、高等学校卒業という喜びの日を迎えました。ひとつの課程を終えた充実感とともに、将来への期待や希望に胸を膨らませて、県立北条高等学校を巣立とうとしていることと思います。

長年親しんだ友達や先生と別れて、学び舎を去っていく寂しさを伴っていることでしょうが、別離は人生の途上に幾度もあることです。

「会うは別れの始め」と言いますが、別れは次の邂逅への始まりでもあります。次なる世界が始まるという予感に胸をときめかせてもいることでしょう。何年かごとに学校や勤め先の環境を変えていくというのは、社会制度の一つですが、それは生きていく知恵の一つでもあると思います。卒業生の皆さんにとって、新しい区切りがスタートしようとしているのです。

私は、人生に数多くの節目や変換点がある方がよいと考えています。苦しみや悲しみは少ないのが有難いと考えるのは人情ですが、苦しみ・悲しみが人を成長させることも事実です。

これまでに中学校三年間、高等学校三年間というような区切りを経験してきましたが、そのような周期は、これからは異なった長さのものになっていくはずです。もっと長い周期になることもあれば、もっと短い周期になることもあるでしょう。高等学校卒業というのは、ひとり一人の異なった周期への船出の時であると言ってよいでしょう。他人とサイクルを合わせているだけでは通用しない人生が、これから始まります。

周期や区切りを多く持ち、自分から進んでそのような周期・区切りを作って、それを乗り切っていくことによって成長してほしいと思います。世の中には「この道一筋」というような方もおられますが、そのような方も、その時その時に自分で区切りを設けて人生を刻んでおられるはずです。

さて、卒業を迎えた皆さんに私が望みたいことの一つは、この時を機に、これまでの自分自身を謙虚に振り返ってみてほしいということです。

なぜそんなことをする必要があるのかと言えば、自分で自分のこれからの人生を演出するためです。

「一を知って二を知らぬなり卒業す」というのは高浜虚子の句です。「一を知って二を知らぬなり卒業す」とは、卒業といえどもまだまだ自分の見識の浅さを知らなければならないという戒めの言葉です。自分自身を振り返ってみれば、大きく成長した部分と、そうでない部分とに思い当たると思います。足りない所は今後補っていけばよいのですが、今の自分を、自分で振り返って確認するところから出発しなければなりません。自分の人生を演出するのは、自分のほかにはいません。他人を頼っているわけにはいきません。

人生の途上において、運命や時の流れに左右されることから免れることはできませんが、活路を切り拓いていくのは自分以外の何者でもありません。これからは、自分で選んだ道を、自分で演出しながら歩んでいってください。自分の気持ちのあり方次第で、人生の色合いが変わってくるかもしれません。自分を信じて果敢に突き進んでください。

三年間の課程を終えて、次の段階へと踏み出していく、県立北条高等学校75回生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。私は、皆さんひとり一人に、大きな期待を込めて本校から送り出そうと思います。お元気で活躍されることをお祈りします。

 

校長 塙 守久

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